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雇保適用 「週10時間以上」へ拡大 令和10年度中に実施 労政審部会報告(素案)

  • 執筆者の写真: 里絵 渡邉
    里絵 渡邉
  • 2023年12月28日
  • 読了時間: 3分

〇基本手当の給付制限短縮

 厚生労働省は、雇用保険制度の見直しに向けた労働政策審議会雇用保険部会報告の素案をまとめた。雇用のセーフティネットを広げる観点から、雇用保険の適用対象者を週所定労働時間10時間以上にまで拡大するべきとした。新たに対象に加わる労働者も、現行の被保険者と同様に、基本手当のほか、育児休業給付や教育訓練給付などの対象とする。令和10年度中の実施をめざす。基本手当については、自己都合離職者に対する給付制限期間を現行の原則2カ月から同1カ月に短縮する。

 雇用保険部会では、今年6月に閣議決定した骨太の方針やこども未来戦略方針において、雇用保険の適用拡大や、両親ともに育児休業を取得することを促進するための育児休業給付の給付率引上げ、教育訓練給付の拡充などについて検討することが盛り込まれたことなどを踏まえ、今年9月から雇用保険制度全般について検討を行ってきた。

 現在、週の所定労働時間が20時間以上の労働者に限定している雇用保険制度の対象者について素案では、「週10時間以上」にまで拡大するとした。適用拡大によって、最大で約500万人が新たに被保険者となる見込み。事業主の準備期間を考慮し、令和10年度中に施行すべきとしている。

 適用拡大に合わせ、基本手当を受給するための失業認定基準も見直す。現在は、労働した日のうち、労働時間が4時間以上の日については失業認定を行っていない。拡大後は、認定の基準となる労働時間を1日当たり2時間に改める。

 基本手当については、正当な理由がない自己都合離職者に設定している給付制限期間を、現行の原則2カ月から1カ月に見直す。その際、給付目的の早期離職を防止するため、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職を繰り返す場合は、給付制限期間を3カ月とする。離職期間中や、離職日前1年以内に、自主的に教育訓練を行った場合には、給付制限を解除する。期間短縮と制限解除は、令和7年度からの導入を見込む。

 男女ともに働きながら育児を担うことができる環境を整備する観点からは、育児時短就業給付(仮称)の創設などを提言した。時短勤務開始日前2年間にみなし被保険者期間が12カ月以上ある被保険者が、2歳未満の子を養育するときに、時短勤務中の賃金額の10%を給付する。その際、時短後の賃金との合計が時短前賃金を超えないよう調整するとした。

 教育訓練給付については、中長期的なキャリア形成に役立つ専門的・実践的な講座の受講者に支給する専門実践教育訓練給付金や、速やかな再就職につながる講座の受講者向けの特定一般教育訓練給付金を対象に、賃金上昇時などの上乗せ支給を新設する。


労働新聞社『労働新聞』 令和5年12月25日第3430号1面 掲載記事より

 
 
 

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