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賃金引上げ後の申請可能に 業務改善助成金で 支援対象事業場も拡大 厚労省

  • 執筆者の写真: 里絵 渡邉
    里絵 渡邉
  • 2023年9月14日
  • 読了時間: 2分

 厚生労働省は8月31日、今年10月の地域別最低賃金の改定を前に、企業における賃金引上げを支援する業務改善助成金を拡充した。一定規模の事業者については賃金引上げ計画の提出を不要とし、引上げ後の事後申請を認める。事業場内最低賃金(事業場内で最も低い時間給)と最賃の差額が30円以内の事業場に限定していた対象事業場の範囲も拡大し、差額が50円以内の事業場を対象とした。さらに、引上げ前の事業場内最賃額に応じて設定されている助成率の適用区分を見直し、最大の助成率10分の9が適用される範囲を従来の870円未満から900円未満に引き上げた。

 業務改善助成金は、事業場内最低賃金を30円以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資を行った中小・小規模企業を対象に支給するもの。引上げ前の事業場内最低賃金の額に応じて、設備投資に要した費用の一定割合を助成する。

 8月31日に講じた拡充では、①対象となる事業場の拡大、②一定規模事業場に対して賃金引上げ後の事後申請を認める、③助成率区分の金額を見直し、高助成率が適用される範囲の拡大――の3点を実施した。

 対象事業場については従来、事業場内最賃と地域別最賃の差額が30円以内の事業場に限定していたが、拡充により、差額50円以内にまで広げた。たとえば、地域別最賃が920円の地域に所在する事業場内最賃が955円(差額35円)の工場の場合、拡充前は支援を受けられなかったが、要件の見直しによって支援対象に加わることになる。

 申請に当たっては、50人未満の事業場を対象に、申請時の「賃金引上げ計画」の提出を不要とした。今年4~12月に引上げを実施した場合に限り、申請書と併せて賃上げ結果などを提出することで支援を受けられるようにしている。

 助成率の区分は、「事業場内最賃900円未満」で10分の9、「同900円以上950円未満」で原則5分の4、「同950円以上」で原則4分の3――の3区分を用意した。従来は、助成率10分の9が適用される範囲が「870円未満」、助成率5分の4が「870円以上920円未満」などとなっていたが、それぞれ対象となる事業場内最賃を引き上げた。

 助成対象となる設備投資には、引き続き、POSレジシステムなど機器・設備の導入や、経営コンサルティングなどが該当する。助成上限額は、賃金を引き上げる労働者数と引上げ額に応じてそれぞれ設定されており、区分や各上限額に変更はない。

 助成金の申請期限は来年1月31日。ただし、今年10月の最賃改定に対応して賃金を引き上げる場合には、改定日の前日までに引上げを完了させる必要がある。


労働新聞社『労働新聞』 令和5年9月11日第3416号1面 掲載記事より

 
 
 

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