〇各月賃金の一定割合支給
厚生労働省は、育児期を通じた柔軟な働き方を推進するために創設をめざしている「育児時短就業給付(仮称)」について、制度設計の方向性案を労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会に提示した。同給付は、子育てのために時短勤務を選択した際の賃金低下を補い、時短勤務の活用を促すもの。方向性案では、対象者を2歳未満の子を養育する雇用保険被保険者とし、時短勤務開始日前2年間に被保険者期間が12カ月以上あることを要件とした。時短勤務中の各月に支払われた賃金の一定割合を支給する。具体的な支給率などは今後検討していく。
育児時短就業給付(仮称)の創設は、今年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針において、「共働き・共育て」を推進する方策の1つとして盛り込まれた。一定時間以上の短時間勤務を選択した場合に、手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、2025年度からの実施をめざすとしている。
これを受けて厚労省では、労政審の雇用保険部会で制度設計について検討を進めている。11月13日の部会で事務局が方向性の案を示した。
対象者として、2歳未満の子を養育する労働者を想定。育児休業給付と同様に、開始日前2年間に被保険者期間が12カ月以上あることを求める。
支給の仕組みについては、時短勤務中の各月に支払われた賃金の一定割合を支給する方法を提示した。男女ともに育児とキャリア形成の両立を支援し、休業よりも時短勤務、時短勤務よりも従来の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、就業促進を図る給付設計とする考え。
給付水準に関しては、高年齢雇用継続給付を参考に、給付額と賃金額の合計が時短勤務前の賃金を超えないようにする。
13日の部会では、こども未来戦略方針で掲げられた育児休業給付の給付率引上げに関する制度設計案も示した。子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに14日以上の育児休業を取得した場合、28日間を限度に、給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から8割程度(手取りで10割相当)に引き上げるとしている。
具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に取得する育休(産後パパ育休含む)を対象とする。原則として被保険者と配偶者双方の育休取得を求めるが、配偶者がいない場合や、配偶者が自営業やフリーランスなど雇用労働者以外の働き方をしている場合は、配偶者による取得を要件としない方向だ。
労働新聞社『労働新聞』 令和5年11月27日第3426号1面 掲載記事より
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