〇雇保の被保険者拡大も
政府は、少子化対策の方向性を示した「こども未来戦略方針」の素案を明らかにした。今後3年間の集中的な取組みとして、男性育休の取得促進や、働き方と子育ての両立に向けた多様な選択肢の確保などを挙げた。両親ともに育休を取得した場合に、最大4週間手取り収入が減少しないよう、2025年度から育児休業給付の給付率を引き上げる。多様な働き方を支えるセーフティーネットの構築に向け、28年度をめどに雇用保険の適用対象者を拡大。週所定労働時間が20時間未満の労働者も対象に加える。
素案は、6月1日に開いたこども未来戦略会議に示したもの。少子化・人口減少が急速に進む中、2030年までが人口減少に歯止めを掛けるための「ラストチャンス」と指摘。①構造的賃上げなどと併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やす、②社会全体の構造・意識を変える、③すべての子ども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する――の3点を基本理念に、「次元の異なる少子化対策」として抜本的に政策を強化することを打ち出している。
そのうえで、今後3年間に集中的に取り組む具体的な政策「加速化プラン」を示した。
同プランでは、男性の育休取得の促進に向け、産後パパ育休(最大28日間)を念頭に、育児休業給付の給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から、8割程度(同10割相当)へ引き上げるとした。具体的には、両親ともに育休を取得することを後押しするため、男性が取得した産後パパ育休に対する給付率を引き上げる。女性の産休後の育休取得に対しても、28日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度に引上げを行う。25年度からの実施に向けて検討を進めるとした。
職場に気兼ねなく育児休業を取得できる環境をめざし、育児休業を支える体制整備を行う中小企業への助成措置を大幅に拡充する方針も示した。業務を代替する社員への応援手当に関する助成の拡充や、代替期間の長さに応じた支給額の増額などを検討していく。
さらに、育児期に手取り収入が減ることなく育児・家事を分担できるよう、男女ともに一定時間以上の短時間勤務をした場合に、賃金低下を補う「育児時短就業給付(仮称)」を創設する。子どもが2歳未満の場合を対象とし、給付水準を検討しつつ、25年度からの実施をめざす。
子育て期における働き方の多様な選択肢を確保するため、雇用のセーフティーネットの充実を図る。現在、雇用保険が適用されていない週所定労働時間20時間未満の労働者も失業給付や育児休業給付などを受給できるよう、適用拡大に向けた検討を進める。事業主の準備期間などを考慮し、28年度までに施行する。
労働新聞社『労働新聞』 令和5年6月19日第3405号1面 掲載記事より
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