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執筆者の写真里絵 渡邉

失業給付受取までを短縮化 学び直しが条件に 政府・新しい資本主義実現会議

〇労働市場改革で指針作成

 政府は新しい資本主義実現会議を開き、「三位一体の労働市場改革の指針」を取りまとめた。構造的な賃上げを通じ、日本企業と外国企業間に存在する同一職務の賃金格差を縮小することを目標に設定。実現に向け、リスキリングによる能力向上支援、成長分野への労働移動の円滑化、職務給の導入を一体的に進めるとした。労働移動の促進施策として、自己都合離職者が失業給付を受け取るまでの期間を見直す。リスキリング実施などを条件に、会社都合の離職時と同様に7日程度で受け取れるようにする。

 同指針では、働き方が多様化し、「一人ひとりが自らのキャリアを選択する時代になってきた」と強調。職務ごとに要求されるスキルを明確化することで、労働者が自分の意思でリスキリングを行い、職務を選択できる制度に移行することが重要とした。日本経済のさらなる成長には、労働者が自らの選択で社内・社外ともに移動できるようにすることが急務と指摘している。

 能力向上支援の施策の1つに、雇用調整助成金の見直しを盛り込んだ。休業などの雇用調整に対して助成する雇調金が雇用維持策としての重要な役割を果たしていると評価する一方、助成が長期化すれば職業能力の維持・向上や、成長分野への労働移動を阻害する恐れがあると指摘。在職者によるリスキリングを強化するため、教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう、助成率を見直すとした。

 たとえば雇用調整が30日を超えるケースでは教育訓練の実施を原則とし、休業による雇用調整を行っている場合の助成率を引き下げる案を提示している。

 労働移動の円滑化に向けては、失業給付制度の見直しに取り組む方針だ。現行制度上、会社都合による離職者については求職申込みから7日の「待機」を経れば給付を受けられるのに対し、自己都合離職者には、さらに2~3カ月の給付制限が設けられている。転職を促進する観点から、失業給付の申請前1年以内にリスキリングに取り組んでいた場合、会社都合の離職と同様に、待機期間満了後に給付を受けられるようにする。

 自己都合離職を選択しやすくなるよう、厚生労働省のモデル就業規則も改正する。退職金に関する規定として、勤続年数による支給制限や、自己都合離職者と会社都合離職者とで異なる取扱いを示している点を改める。企業での労働慣行の見直しにつなげたい考え。

 職務給については数社の導入事例を紹介した。さらに年内をめどに事例集をまとめ、多様なモデルを示すとしている。


労働新聞社『労働新聞』 令和5年5月29日第3402号1面 掲載記事より

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