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同一賃金 労基署が事実関係確認へ 指導の実効性高める 厚労省

  • 執筆者の写真: 里絵 渡邉
    里絵 渡邉
  • 2022年12月6日
  • 読了時間: 2分

全国で監督官52人増員も

 厚生労働省は、非正規雇用労働者の待遇改善に向け、パート・有期雇用労働法に基づく報告徴収を行う都道府県労働局の雇用環境・均等部門と、労働基準監督署の連携を強化する。新たに、労基署が定期監督などを利用して非正規雇用労働者の基本給や諸手当などの処遇について事実確認を実施し、労働局における報告徴収の対象企業の選定に活かしていく。同法に基づく是正指導の実効性の強化を狙う。同一労働同一賃金の遵守に向けた取組みを徹底するため、労働基準監督官を全国計で52人増員する方針だ。

 いわゆる同一労働同一賃金については、パート・有期雇用労働法第8条において、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の禁止を定めている。

 同一労働同一賃金の実現に向けて厚労省では、都道府県労働局の雇用環境・均等部門が労働者からの相談や年間計画などを踏まえて、企業への報告徴収(雇用管理の実態把握)を実施している。同法違反がみつかった場合には、都道府県労働局長による助言・指導を実施し、不合理な待遇差の是正につなげている。令和3年度は、同法に基づいて全国6377企業を対象に報告徴収を実施。同法違反が確認された4470社(70.1%)に対し、1万738件の是正指導を行った。このうち、不合理な待遇差の禁止関連では、216件(2.0%)を指導した。

 同一労働同一賃金の遵守を徹底するための新たな取組みとして、労働局による報告徴収の前に、労基署が事実関係の確認調査を行っていく方針。

 労働基準監督官が労働条件に関する定期監督などを実施する際、同法の対象になるパートや有期雇用労働者の有無のほか、基本給、通勤手当を含む諸手当、賞与などの待遇差の有無も確認する。併せて、雇用改善に向けたアドバイスを行う「働き方改革推進支援センター」の利用意向を聞き取る。

 厚労省は、新たな枠組みによる事実関係の確認が着実に行われるよう、全国で約3000人配置されている監督官を52人増員する考え。

 監督官が事実確認によって把握した情報は、労働局の雇用環境・均等部門と共有し、報告徴収の対象企業選定や、同センターの利用促進に活かしていく。

 厚労省は、「労働基準監督署が事前に事実関係を確認することで、違反の恐れがある企業をある程度あぶり出したうえで報告徴収を行えるようになるため、違反企業割合は高まるのでは」とみている。


労働新聞社『労働新聞』 令和4年12月5日第3379号1面 掲載記事より

 
 
 

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