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労災特別加入制度 フリーランスを追加へ 労政審で議論開始 厚労省

  • 執筆者の写真: 里絵 渡邉
    里絵 渡邉
  • 2023年10月19日
  • 読了時間: 2分

〇保険料率設定など課題に

 厚生労働省は10月4日に開いた労働政策審議会労災保険部会で、事業者からの委託により業務に従事するフリーランスを、労災保険の特別加入制度の対象に加える方針を示した。対象者の範囲や保険料率の水準、加入手続きを担う特別加入団体のあり方などを論点に、議論を開始している。今年4月に成立したフリーランス新法の附帯決議では、希望するすべてのフリーランスが加入できるよう対象を拡大することとしていた。

 労災の特別加入制度は、業務の実情や災害発生状況などからみて、とくに労働者に準じて保護することが適当な者に対して任意加入を認める制度。従来、建設業の一人親方などが対象になっていたが、令和3年以降、対象を広げている。

 同年には、芸能従事者、アニメーション制作従事者、柔道整復師のほか、自転車配達員やITフリーランスを追加。さらに4年にあん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、歯科技工士を加えている。

 厚労省が現在検討しているのは、業種を限定せず、業務委託により仕事に従事するフリーランスを特別加入できるようにするもの。

 内閣官房などが実施した実態調査によると、フリーランスで働く人は全国で462万人いると試算されている。そのうち、事業者から業務・作業の依頼(委託)を受けて仕事を行っているのは273万人。業種の内訳は、営業が6.1%で最も多く、以下、講師・インストラクター5.5%、建設・現場作業5.3%、デザイン制作・コンテンツ制作5.1%などと続く。このうち建設・現場作業はすでに特別加入の対象に含まれている。

 4日の労災保険部会では、厚労省が対象拡大における検討課題を提示。追加する対象者の範囲や保険料率、特別加入団体のあり方などについて、委員に意見を求めた。

 全国からさまざまな業種のフリーランスが対象に加わることが想定されるため、特別加入団体について委員からは「災害防止措置を着実に実施でき、その後の支援までを行う窓口を各地に設置することが望ましい」といった声が挙がった。

 今後、フリーランス関連団体のヒアリングを行うとともに、引き続き議論する。


労働新聞社『労働新聞』 令和5年10月16日第3421号1面 掲載記事より

 
 
 

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