公正取引委員会と厚生労働省、中小企業庁はフリーランス新法のQ&Aを策定した。新法の規制の対象となる従業員を使用する発注事業者について、雇用保険の対象者の範囲を参考にするとしている。
新法は従業員を使用せず個人として業務委託を受けるフリーランスと、従業員を使用して組織として業務委託する発注事業者間の取引適正化を目的としている。Q&Aはこの「従業員の使用」について、一時的な雇用は含まれないとした。具体的には、雇用保険の対象者の範囲を参考に、週20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる者を従業員とする。雇用保険の対象者以外を雇用する事業者は、規制の対象にならない。
報酬額などの明示については、書面の交付かメールなどの電磁的方法のいずれかを、発注事業者が選べるとした。発注事業者は報酬額や支払い期日などについて、内容が定められないことにつき正当な理由があるもの以外は、ただちに明示をしなければならない。
「正当な理由」は契約締結時点で内容が決定できないと客観的に認められる場合とした。具体例として、放送番組の作成委託で、タイトル、放送時間、コンセプトは決まっているものの、番組の具体的な内容が決まっておらず、報酬額が定まっていないケースを挙げている。
新法では一定期間以上の継続的な委託をする発注事業者に、妊娠・出産・育児・介護への配慮義務を課している。義務の対象となる継続的委託については、取引きの実態に即した期間の設定を検討していく。
継続的な委託では、原則として中途解除日の30日前までの予告も必要となる。予告が不要となる例外的なケースは、天災や上流発注者の突然のキャンセル、フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合などが想定できるとしている。
労働新聞社『労働新聞』 令和5年8月7日第3411号2面 掲載記事より
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